サ行

サワグルミ (沢胡桃)

クルミ科:広葉樹(落葉)

その名の通り谷の沢筋に見られます。上の写真のように小さく垂れ下がる実が成るだけで、オニグルミのような食べられるような実は成りません。日本の木の中では「キリ」ほどではありませんがとても軽い材で、材質は軟らかく建築・家具分野ではあまり耳にしない名前です。下駄や経木、引出しの内張りなどに使われます。森の中では、広葉樹には珍しくまっすぐ立ち、枝ぶりも綺麗で時には30mほどの大木になるので、堂々としていて、いかにも「森の樹」らしい木です。

樹皮

サワラ (椹)

ヒノキ科:針葉樹(常緑)

見た目はヒノキそっくりですが、よく観察すると葉の先がヒノキより尖っていること、葉の裏の気孔群(白い部分)が「X」の形に見えること(ヒノキは「Y」)、枝の張り具合が、ヒノキのそれと比べやや細く、また上に伸びずやや下向き加減に見えることなどから違いがわかります。(切った場合は匂いが違います。)心材は黄褐色、辺材は黄みがかった白色で辺心材の境目はくっきりしています。ヒノキほど芳香は強くなく、軽くて加工性がよく水気に強く耐朽性も大きい材ですので、鴨居、敷居、造作材、建具、家具、浴槽、樽、桶など広範に用いられます。

樹形
樹皮

サンショウ (山椒)

ミカン科:広葉樹(落葉)

写真では大木に見えますが、葉の大きさを見てもらえばおわかりのように、これは接写しているためです。サンショウの木はせいぜい3mぐらいにしかなりません。ご存知のように葉は和食の香辛料や見た目の演出の役目としては欠かせない材料で、幹もすりこぎに利用されます。枝の表面にはトゲが多数ありますが、同じ方向に対生して付いており、イヌザンショウは互生しており、葉の臭いも悪いのですぐ区別がつきます。

シキミ (樒)

モクレン科:広葉樹(常緑)

常緑の低木(2~6m)で独特の香りがあります。枝は仏事に使われ、漢字名は木偏に密のほか、木偏に佛(ほとけ)と書くこともあります。この辺りでは「シキビ」と呼びますが、もともとシキミという言葉は「悪しき実」から来ており実は有毒です。でも、食べると仏様になるほど有毒なのでしょうか。

シダレヤナギ (枝垂柳)

ヤナギ科:広葉樹(落葉)

落葉樹ですが紅葉せず、気が付かない間に葉が落ちてしまいます。中国の田園風景というと柳がイメージされるように原産は中国です。平安時代以前に日本に持ち込まれたらしく、今や全国の公園、街路樹として見慣れた木となりました。写真の木も山のふもとに生えていたもので、おそらく人の手で昔植えられたものでしょう。(ですので厳密に言えば「山林で普通に見られる木」ではありません。)材は細工物など広い用途ではありませんが使われています。

樹皮

シデ(椣・四手)

カバノキ科:広葉樹(落葉)

南飛騨地方では比較的多く見られる高木で、20m以上になるものもあります。シデにも「イヌシデ」「アカシデ」「クマシデ」など種類が多く、それぞれ樹皮の模様の濃さが違うようですがちょっと見分けがつきにくいものもあります。果穂が垂れ下がる様子が注連縄に吊るされる紙垂(シデ)に似ているためこの名があります。樹皮はなめらかな灰褐色で、「シデ目」と呼ばれる縦縞模様があるため年輪も波打った模様になり、板にするとこれが目として現れ、面白い模様になります。材質的には、灰白色で乾燥時に割れが入りやすく、やや扱いにくい材です。

木口
注連縄の紙垂(シデ)

シナノキ

シナノキ科:広葉樹(落葉)

当社山林ではあまり見かけませんが大木になると20mぐらいになる落葉高木です。「科」とも書きます。長野県の旧国名である「信濃」はこの木を多く産出したことから、以前は「科野」という表記をしたという説があります。樹皮の繊維が強靭なためロープ、袋などに、またアイヌの人たちは衣類などに利用されていました。材は軽軟でシナベニヤ合板の化粧面に多く使われますが、家具材としてはあまり見かけることはありません。シナノキの花から取れる蜜は良質なため養蜂家はこの木が多く生育する場所を好みます。

樹皮
シナ袋

シラカシ (白樫)

ブナ科:広葉樹(常緑)

アカガシに比べ色が白っぽいが同じくらいの重さと硬さがあります。用途もアカガシと同様、カンナの台やハンマー、鍬やスコップの柄など強度を必要とする部分に多く使われます。一般に「カシ」といえば東日本ではこのシラカシ、西日本(特に四国・九州)ではアカガシのことを指すようです。

樹形
樹皮

シラキ (白木)

トウダイグサ科:広葉樹(落葉)

落葉小高木で5~6mほどの高さになりますが樹皮が白く、また表面に細かい縦の裂け目ができます。葉は10cmほどの大きさで秋には黄葉、紅葉し、結構目立つ色になります。東北地方以南で、あまり条件のよくないような、例えば崖のようなところでもよく見られます。

樹皮

シロモジ (白文字)

クスノキ科:広葉樹(落葉)

林道脇などでよく見かける高さ3~5mぐらいの落葉小高木で、幹は一本だけではなく何本も群れになっています。葉は写真のように3つに裂けていますが、不思議なことに一番幹に近い葉だけは裂けていない丸い葉です。シロモジと同じ仲間の「クロモジ」は高級楊枝として使われますが、シロモジの方は杖などに使われたりするぐらいで材としての用途はあまり聞いたことがありませんが、あまり大きくならず紅葉がきれいなので観賞用にはいかがでしょうか。

スギ (杉)

スギ科:針葉樹(常緑)

この木も日本の人工林を代表するごくありふれた木となりましたが、苗字にも「杉」の字が多く使われていることからも日本人が古くから付き合っていた木であることがわかります。しかし、最近では、春先に飛散する花粉のため目の仇にされる木となってしまいました。写真は植林されたスギですが、まれに天然のものも見られます。材は、辺心材の境目が明瞭で、辺材は白色、心材は淡い紅色~濃い赤褐色。肌目はやや粗く、特有の香りがします。脂気(やにけ)が少なく、軟らかく軽いので加工しやすいため溝造材、造作材、建具、家具、樽、桶、工芸品など幅広く使用されています。

木口

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