ヤ行

ヤシャブシ (夜叉五倍子)

カバノキ科:広葉樹(落葉)

福島県以南の太平洋側に自生し15m近くになる落葉小高木です。樹皮は灰色で比較的滑らかですのであまり目立たない木ですが、秋になると色づく実(葉の写真にある黒っぽい楕円形)に特徴があり、腐りにくくそのままの形で翌年の春まで木に付いています。山育ちの方なら子供の頃、この実を集めたことはありませんか?カバノキ科ハンノキ属の仲間で、葉の形以外はヤマハンノキによく似ており、ヤマハンノキにも似たような実がなります。比較的荒れ地にも強く成長が早い木で、砂防植栽樹として植えられる他、材としては床柱などにも使われます。実にはタンニンが多く含まれ、染料に使われるそうです。

ヤブツバキ (藪椿)

ツバキ科:広葉樹(常緑)

本州から沖縄まで比較的暖かい地方に生育しているため当社山林でもふもと付近で見られます。誰もが知っている常緑広葉樹で写真は4~5mですが野生種の中には10mを超えるものもあります。成長が遅いため緻密な材となるのでさまざまな木工に使われます。実(種)からはご存知のように椿油が採れます。

ヤマウルシ (山漆)

ウルシ科:広葉樹(落葉)

樹液でかぶれることが多いため嫌われる木です。秋には他の落葉樹に先駆けて鮮やかに紅葉します。イラストのようにこれで1枚の葉(奇数羽状複葉)です。まれに大きく成長し木材として利用できる場合でも、製材する人は注意しないとかぶれてしまうことがあります。材の色は強い黄色味を帯びていますが時間とともに茶褐色に変化します。タンニンが多く、脂気(やにけ)が多いので腐りにくい材です。ちなみに漆器に使われる「漆」は樹液採取用に栽培されたものです。

ヤマグワ (山桑)

クワ科:広葉樹(落葉)

養蚕用のクワは中国原産の多くの品種があり畑に植えられているため低い樹と思いがちですが、これは刈り込みをするためで、ヤマグワは10m以上になります。普通、葉は卵状の楕円形で、よく観察すると時に裂けた形(写真中:右側の葉)を見つけます。夏には甘酸っぱい果実(クワイチゴ)がなり、食用としても有用な樹です。黄味を帯び、硬くて曲げにも強い保存性の高い材で、光沢のある褐色に経年変化します。しかし、そのような材がとれるほどの太い樹はまれにしか見られず、蓄積はきわめて少ない高級装飾材です。

ヤマザクラ (山桜)

バラ科:広葉樹(落葉)

花は若葉が芽吹くのと同時に開くので、身近に植えられているソメイヨシノのような豪華さはありませんが、江戸時代以前の花見といえばヤマザクラだったようです。サクラの語源は諸説ある中で、日本書紀以前の日本では豊作の神(穀霊)を「さ」と呼び、その「さ神」さまが座った場所、すなわち「座(くら)」がその証として花が咲くのだ、という説があります。いかにもサクラ好きの日本人らしい説で、日本人にとってはサクラはなくてはならない樹であることがわかります。用途としては、装飾材、家具、楽器、彫刻など。また、チップは香りが良いため燻製用に使われます。

木口

ヤマナシ (山梨)

バラ科:広葉樹(落葉)

5月上旬頃、サクラの季節でもないのに似たような白い花を枝いっぱいに咲かせます。日本のナシ(豊水・ニ十世紀・長十郎)などの原種といわれており、確かにそれらを小型にしたような実をつけますがジャリジャリしていて食べられるような実ではありません。あまり見かける木ではありませんが、かなりの高木に成長するようでこの写真の木も15m近くあります。材は日本でも古くから家具や囲炉裏の縁などいろいろな用途で使われ、ヨーロッパではリコーダーなど楽器にも使われています。

樹皮

ヤマナラシ (山鳴)

ヤナギ科:広葉樹(落葉)

ドロノキとよく似た木ですが、ドロノキは湿った場所、ヤマナラシは主に乾燥地に生育しています。葉の裏が白っぽく大型で葉柄が長いため風が吹くとよく翻るのがわかります。(ホオノキもよく目立ちます。)ヤマナラシという名も風が吹くと大きな音が出るからだそうですが、そんなにびっくりするほどの音ではありません。樹皮はドロノキより白っぽく、幼木のドロノキのような菱形の模様が特徴的です。大きなものでは20mにもなる高木です。かつて材は昭和初期の91式戦闘機の翼の一部にも集成材にして使われたことがあります。

樹皮

ヤマボウシ (山法師)

ミズキ科:広葉樹(落葉)

「山帽子」とも書き、さほどこの辺りでは頻繁に見られる木ではありませんが、庭木ではよく見られます。葉の縁に沿って走る長い葉脈でミズキの仲間とわかりますが、一番目立つのは6月頃咲く白い花でしょう。しかし4片の花に見えるのは実は苞で本当の花は中心にある緑色の部分です。庭木ではあまり大きなものは見られせんが、山では10m以上の高木に成長します。実は熟すとほんのり甘酸っぱい味がします。

樹皮