タ行
タカノツメ (鷹爪)
ウコギ科:広葉樹(落葉)
「コシアブラ」「セン(ハリギリ)」と同じウコギ科に属します。葉が特徴で「メグスリノキ」「ミツデカエデ」と同じく3小葉(3枚セット)ですが、夏は黄緑色で秋には他の2種が紅葉するのに対し、こちらは黄葉します。冬芽が鷹の爪に似ているのでこの名が付いたそうですが当地方では別名「イモノキ」ともいいます。材が軟らかいからという説と、煮るとイモの匂いがするという説とがありますが果してどちらが正しいのでしょう?ちなみにこの辺りでは前者のようです。「木を煮る」ってどういう場面でするのか、ちょっと想像しにくくありませんか?
タニウツギ (谷空木)
スイカズラ科:広葉樹(落葉)
この辺りは太平洋側と日本海側の両方の植生が見られ、この写真の樹種は日本海側に多く見られる「タニウツギ」だと思うのですが、ひょっとしたら太平洋側に多い「ニシキウツギ」の変種の「ベニバナニシキウツギ」かもしれません。「ニシキウツギ」は本来名の通り、二色(白とピンク)の花をつけますが、変種の「ベニバナニシキウツギ」はピンク色のみの花をつけるので区別がつきません。種子が異なるとのことですが、誰かご存知の方、教えてください。林道の土手や路肩などに群生しているので5月中旬頃になると、その花の色のため存在がよくわかります。
タムシバ (噛柴[田虫葉])
モクレン科:広葉樹(落葉)
「カムシバ」の別名がありますが、名の由来は漢字名にあるように、葉を噛むと甘い味がするから(噛む柴)、という説と、葉に田虫のような斑点ができるから(田虫の葉)、などと諸説あります。どちらかというと日本海側の多雪地方に多い樹種だそうですが、金山町近辺は「タムシバ」の方が多いようです。遠くから見ると「コブシ」そっくりの花を咲かせるのでよく間違えますが、花をよく見ると、「コブシ」には花の下に一枚だけ葉がついているのに対し、これにはその葉がありません。(コブシ参照)また、樹皮にも特徴があり、平らなイボのような突起物が多く見られること、葉が「コブシ」より細長くて白っぽいことなどで区別できそうです。
タモ
モクセイ科:広葉樹(落葉)
家具のほか、テニスラケットやスキー板などスポーツ用品にも使われています。特にバットの木として有名ですが、バットに使われるのは、より堅くて粘りのある「アオダモ」が大半を占めています。アオダモ材のバットはしなりを活かしてボールをバットにのせて運ぶタイプの選手に好まれ、イチロー選手も使っていましたが、最近は更に硬くて反発力のあるメープル材のバットを長距離ヒッターが使用するようになりドジャースの大谷選手もメープル材のバットを使用しています。
タラノキ
ウコギ科:広葉樹(落葉)
4mぐらいにしか生長せず、また寿命も短いことから材木としての価値はありませんが、新芽は春の山菜として有名です。ただしヤマウルシの新芽と間違えることがあるので注意が必要です。日当たりの良い場所に成育し、幹にも枝にも大きなトゲをびっしりつけます。入山時にうっかり枝を掴んだりしたら痛い目にあいます。8月中~下旬頃、木の上に白っぽい花を咲かせます。
タラヨウ (多羅葉)
モチノキ科:広葉樹(常緑)
この木は当地域の山林ではほとんど見かけません。葉は大きく分厚く、葉の裏を尖ったもので傷付けると写真のように黒く浮かび上がり字が書けるため昔の日本ではお寺で経文を書いたりしたことから寺社や公園で植えられていることが多いようです。ハガキ(葉書)の語源になったとも言われ「郵便局の木」として定められています。
ダンコウバイ(檀香梅)
クスノキ科:広葉樹(落葉)
山地の低いところに生えており、樹形はアブラチャンによく似て、根元から株立ちし太くならず樹高も低い(2~3m)ので、これも材木屋見地から見ればあまり興味がありません。しかし、3~4月の春には、アブラチャンと同じく、葉を付ける前に鮮やかな黄色い花を咲かせるので春の山では目立つ存在です。葉も写真のようなチューリップの花形をしており特徴的です。
チャンチン(香椿)
センダン科:広葉樹(落葉)
これも中国原産で室町もしくは江戸時代に日本に渡来したといわれています。「香る椿」と書きますが中国では椿(チン)は長寿の木を表す漢字だそうで、椿の仲間ではありません。サワグルミのようにまっすぐに伸びる木で枝をあまり横に広げず樹高は20m以上になります。そのせいか雷が落ちやすいと言われ「雷電木(ライデンボク)」と呼ばれることがあります。弊社製品のサンプル板に使われているチャンチンは民家の跡地に生えていたもので、ダム建設で湖に沈む前の山から苗木を採ってきて水没を免れた庭先に植えたものだそうです。春の若葉は鮮やかな紅色、材も独特の赤い色をしています。
ツガ (栂)
マツ科:針葉樹(常緑)
一見、モミに似ていますが、葉がモミより細かく、また、樹皮もモミに比べ茶褐色を呈しており、細かく鱗状にひび割れしたような深い割れ目があります。材は耐久性はありますが、加工性にやや難がある上、狂いやすいのが特徴です。また、樹脂成分が多く、やにも出やすいです。用途は構造材、鴨居、敷居などに使われます。
ツクバネガシ (衝羽根樫)
ブナ科:広葉樹(常緑)
常緑の高木で、本州中部以西に分布します。近種のアカガシトと似ていますがドングリを見ると少しずんぐりしていて違いがわかります。葉もアカガシに比べ葉柄が短く鋸歯も先端に少しあるので区別がつきます。樹皮は成長した木では斑に剥げ落ち不規則な模様になります。材は他のカシと同様、様々な器具などに使われます。ちなみにツクバネガシの名は、先端の4枚の葉が羽子板に使う羽根(衝羽根)に似ていることから来ています。
ツルシキミ (蔓樒)
ミカン科:広葉樹(常緑)
シキミよりさらに樹高が低く、地を這うように生えている常緑樹です。冬に山に入ると、冬枯れした林の下に真っ赤な実を付けているのを見かけます。よく似た種類で「ミヤマシキミ」というものがありますが、ツルシキミのほうが葉が小さく、生育場所も、「ミヤマシキミ」は名ばかりで里山に近いところで見られるのに対し、より山深い所で見かけるようです。